第257回 「9時10分前」という言葉の意味

先日、健康社会学者(Ph.D.)である河合薫氏の文章を読みました。氏の講演会後の懇親会で、管理職達の「20代の社員達の日本語能力低下に悩まされている」という話で盛り上がったそうです。

例えば、ある管理職が主催した9時スタートの研修会では、5分、10分の遅刻をする社員が多かったそうです。そのため、「次回からは、必ず9時10分前には集合しているように」と注意したそうです。すると、その言葉に対してキョトンとした顔をする人もいたそうです。そこでその人は、「まさか」とは思いつつも、「8時50分に来ること」と補足して伝えると、「あっ、そういうことか」と返されたそうです。

その話が出ると、次から次へと同じような話が飛び出したそうです。例えば、「部下に『そのタスクは結構骨が折れるから覚悟しておけよ』と言ったら、『え、それって肉体労働なんですか』と返された」などです。

河合氏は、そのような「日本語能力低下の原因」として、「小学生時代に読書の習慣をもたない」ことを挙げています。小学生時代に読書習慣をつけておかないと、中学、高校と進むにつれ、ますます本を読まなくなるようです。