第258回 これからの経営方法

先日、知人のお子さんで、大学2回生の女子学生と話す機会がありました。彼女は、京都の祗園にある、ある高級料亭でアルバイトをしています。そこは、礼儀作法に厳しく、それはそれなりに勉強になるようです。そこの社長さんは、職人上がりの厳しい人のようで、アルバイトにも高度なことを要求するとのことです。

例えば、一品一品の料理の説明です。コース料理の突き出しに5品出たとしたら、それぞれについて、その材料などをお客さんに説明するのが義務づけられているとのことです。そのため、アルバイトは入店と同時にその説明を覚えさせられます。そして、それを覚えられた段階で、タイムカードの打刻を許されるそうです。また、研修期間は3ヶ月ですが、ある基準に達しないと、6ヶ月に伸ばされ、それまでは少し低い時給のままだそうです。仕事ぶりも、正社員並のレベルと店への忠誠を求められるとのことです。

このような職場環境のため、向上心や根性のあるアルバイトは長続きするようですが、多くのアルバイトは次々に辞めていってしまうとのことでした。社長さんとしては、アルバイトに仕事や社会の厳しさを覚えさせたいとの想いがあるのでしょうが、現実問題としては、この人手不足の世の中を考えると、厳しい経営法だなと感じました。

この話を聞いていて、「私ならどうするかな」と考えました。一つの方法として、「楽しい雰囲気の中で、アルバイト達の能力をアップさせ、社長さんもアルバイト達も喜ぶ」という道が考えられないでしょうか。例えば、前述の料理を覚える件では、その暗記をゲーム形式にしてしまうなどです。何分以内に覚えられたらポイントが加算され、そのポイントがボーナスになる、などの工夫です。このようにすれば、アルバイト達は早く覚えようと必死になるし、同時に能力もアップすることでしょう。また、経営側にとっても、ワイワイと楽しい雰囲気の中で、アルバイト達のスピードアップや能力の向上が期待出来ます。そして、それらの方法が定着率のアップにつながるかもしれません。職場を大学のサークルのような雰囲気にして、アルバイト達のやる気アップや能力向上を図るという経営方法も、これからの時代には大切なように思います。