第506回 時間の使い方
私の母は高齢になっても「何事も先手,先手」で行動するという習慣をもっていました。例えば,家族で今日の10時に旅行に出発するという予定があれば,9時45分にはすべての準備を整え,おまけに帽子までかぶり,座布団の上にチョコンと座り,出発時間を待つという感じです。
さて,人々にとって「時間の使い方」は次の4つに分けられると思います。
1つ目(A)は「重要でかつ緊急なこと」に使う時間。
2つ目(B)は「重要だが緊急でないこと」に使う時間。
3つ目(C)は「重要ではないが緊急なこと」に使う時間。
4つ目(D)は「重要でもなく緊急でもないこと」に使う時間。
(D)は「時間つぶしにスマホでゲームをする」などの例が考えられます。
(C)は「たいした用事ではないのに,上司から頼まれたので,いやいやせざるを得ないことに時間を使う」などが挙げられるでしょう。
(A)は,極端な例として,急に手が痺れ始め,胸が痛んで堪らないので救急車を呼ぶ,などのことが考えられることでしょう。
一般的に人は(A)や(C)に多くの時間を費やし,その日その日を慌ただしく過ごしてしまいがちです。そして,少し時間ができると,(D)のようなことに時間を使ってしまうかもしれません。
私はより良い安心した人生を送るには,(A),(C),(D)でなく,(B)のようなことにありったけの時間を使うべきではないかと思っています。例えば,前述のように救急車を呼ばざるを得ない事態に陥ったとします。それはそれでその解決のために最大限の時間を費やすべきですが,根本を遡ればその事態を招いたのは「(B)の不足」ではなかったのか,と考えられます。つまり,今までその人は「日々,健康に対する勉強や病気を起こしにくい食生活や生活習慣を実践してこなかったために,そのような事態に陥ってしまったのではないか」ということです。つまり,(B)の不足のために(A)の事態を引き起こしてしまったのではないかということです。
日々の健康に対する勉強や実践は,重要だが緊急なことではありません。しかし,日々のその積み重ねが将来大きな結果として返ってくるように思います。私はいわゆる「成功者」と呼ばれる人々をよく観察するようにしています。すると,そのような方々は決まって(C)や(D)に使う時間を極力排除して,(B)の時間を最大限に作ろうとしていると感じます。さらに,これを追求すると,(A)の事態が減少してくるのです。日本のことわざにも「転ばぬ先の杖」とか「先手必勝」という言葉があります。そのことからもわかるように,何事も「緊急ではないが重要なこと」に注目し,それを最優先にして生きようと思っています。