第253回 変わりゆく慣用句

10月29日に、文化庁の2018年度の「国語に関する世論調査」で、現在での慣用句の使われ方が発表されました。

「自分の言うことに、嘘偽りがないことを固く約束するさま」を意味する本来の慣用句は、次のA,Bのどちらでしょうか。

A「天地天命に誓って」

B「天地神明に誓って」

正解はBですが、Aを使う人が約54%いるようです。また、「論理を組み立てて議論を展開すること」の本来の慣用句は、「論陣を張る」ですが、今や「論戦を張る」と使う人が44%もいるようです。「前言に反したことをすぐに言ったりするさま」は、「舌の根の乾かぬうちに」が本来の使い方ですが、「舌の根」でなく「舌の先」と言う人も増えているようです。

では、「砂を噛むよう」は次のA,Bのどちらでしょうか。

A 悔しくてたまらない様子

B 無味乾燥でつまらない様子

正解はBです。

この調査で面白いのは、若い人ほど正解率が高かったことです。この理由としては、学校が過去の世論調査の結果を授業で使うなどした影響が、考えられるとのことです。