第520回 雑談の力

皆さんは「たわいもない話」である雑談をよくされますか。一般的に男性は雑談を好まず,大切な伝えたいことだけを話す傾向にあります。一方女性は,重要かそうでないかは関係なく,とりとめのないことでも好んで話すようです。私自身は,理数系人間の典型なのか「必要と思われることしか話さない」タイプで,話をするより話を聞くことを中心にしています。

では,雑談は「時間のムダ」なのでしょうか。以下のような話を作家である中谷彰宏氏の講演ダイジェスト文から知りました。

今携帯ショップの客層は,半分以上がシニア世代と言われています。携帯の料金プランは複雑で,その説明だけでも長時間かかります。それに嫌気がさして,契約せずに帰ってしまうお客さんもおられます。そんな中で次々と契約を決める店員さんがいます。その定員さんはどこが違うのでしょう。それは「雑談の力」だそうです。
店員さんは,お客さんからよく「マイナンバーカード」や「ふるさと納税」についての質問を受けるそうです。それらの話題は携帯電話とは全く関係ないことですが,よく契約を決める店員さんは,そんな話にも真剣に耳を傾けて親身になって聞くのです。するとお客は「この人は私の話をちゃんと聞いてくれる親切な人だ」と親近感を抱き,信頼度を高めるのです。その結果,「プランの話は,もうあなたに任せるよ」というムードになり,契約がトントン拍子に進むとのことです。

また,こんな話もあります。

毎年人気を博している,カナダに行ってオーロラを観察するツアーのコンダクターさんがいます。そのツアーでは「せっかくカナダまで行ったのに,オーロラが見られなかった」というクレームは一切ないそうです。逆に「見られなかったけど,もう一度行きたい」という人ばかりです。 なぜか? その理由は「コンダクターさんや隣りの人とのおしゃべりが面白かったから」だそうです。人は心の中に,人に話したいことをいっぱい持っているのですね。それを思い切り人に話すと,とてもスッキリすることでしょう。これらの話を知って私も,「もっと人との雑談を増やすべきかも…」と感じました。