第244回 「腸」の大切さ

中学の理科で人体のことを学ぶと、とても興味深いことがわかります。それは、「胃や腸は体の中にある外界」だということです。一般的に、「胃や腸は体の中にある」と思いますが、「食べたものや外界にあるものが、直接人体と接する場所」と考えれば、胃や腸は、外界と直接接している最も危険な場所なのです。だから、腸には体全体の免疫細胞の約6割が集まっています。また、腸内の神経細胞は、約一億個もあり、「腸は第二の脳」とも言われています。それは、腸は外界からやってくる様々なものを、体の中で最初に処理する場所だからです。
 
腸は、ネットワークを通じて、あらゆる臓器とつながっています。特に、脳とは迷走神経を通じて相互に情報交換しています。「緊張するとお腹が痛くなる」とか、「『うつ』の患者さんには便秘や下痢の人が多い」などもその一例です。

また、腸内の環境が悪化して、腸の老化が進んでくると、腸粘膜の細胞が疲弊してきて、細胞同士のつながりが壊され、所々に穴が開きます。これがリーキー(もれやすい)ガット(腸)症候群といわれるものです。リーキーガット症候群になると、今までは入れなかった病原菌や、未消化のタンパク質などがその穴を通じて入ってきて、いたずらをします。年齢がいくと、花粉症などが起きるのもそれが原因だと言われています。

人間は60歳を過ぎると、腸内細菌の組成が変化し、悪玉菌の増加とともに、善玉菌が急減しやすくなります。それを防ぐのは、規則的な生活や、バランスの取れた食事、適度な運動です。また、15分間ゆっくりとぬるめのお風呂につかるとか、お腹をマッサージするなども、効果的なようです。

私も腸の健康には日頃から充分注意しようと思います。腸のことにご興味をお持ちの方は、『新しい腸の教科書』江田 証 著〈池田書房〉などの一読をお勧めします。