第216回 人間の「白目」はなぜ発達したのか?

ある誌面でこのタイトルを見て、私はとても驚きました。それは、「人間の白目がなぜ発達したのか?」などということについて、考えたことも聞いたこともなかったからです。このタイトルをつけた文面は、京都大学の総長である山極壽一氏の講演のダイジェスト文に収録されていました。

さてみなさん、サルとゴリラでは、どちらが人間に近いかご存知ですか。それはゴリラです。サルは笑い声をたてませんが、ゴリラはたてます。またさらに興味深いのは、「サルは対面しない(相手の目を見ない)が、ゴリラは相手と顔を見合わせて、相手を見る仕草をする」そうです。サルにとって対面する局面は、威嚇の意味を含んでいますが、ゴリラの対面は、相手を観察するためなのかもしれません。

人間も、会話や食事など、いろいろな場面で対面をします。これによって、相手の気持ちをくみ取ったり、その変化を感じ取ったりすることができます。そのときに役立つのが「白目」です。白目を見ると、目の動きが良くわかります。そう言われてみると、動物には白目がなく、目の動きがわかりにくいと感じます。つまり、人間は白目を発達させることによって、相手の気持ちをくみ取る能力を高めていったようです。

私自身は時々、相手の目を見ないで話をしてしまうことがあり、それをなくすように注意しています。私は、これらの事実を知って、「これからは、せっかく人間だけに与えられた白目の特性を生かして、相手の気持ちをさらにくみ取れるよう、意識していこう」と感じました。