第526回 日本語特有の言葉

以前,「もったいない」という言葉が,日本語特有の言葉であると評判になりました。日本人が自然に抱いている「どんなものでも大切にする」という精神が,評価されたのでしょう。

「ありがとうございました。」という言葉も同様かもしれません。ある人は,買い物が終わって,店員さんから「ありがとうございました。」と声を掛けられると,必ず「こちらこそありがとうございました。」と丁寧に返すようにしているとのことです。このようなシーンでは,「お金を払っているのだから,わざわざお礼を言う必要はないだろう。」との考え方もあることでしょう。しかし,安心して商品を買えるのは,店員さんの誠実な接客態度や商品知識などがあってこそのことです。そう考えれば,「良いものを勧めて下さって,感謝します。」というニュアンスを含んだ言葉が発せられても,自然ではないでしょうか。

この考え方を発展させれば,タクシーに乗って目的地に到着したら,降り際に「ここまで安全に運んで下さり感謝します。」という気持ちを含めて「ありがとうございました。」と声を掛けるのも自然な態度と言えるでしょう。

話は変わって,私の心にはあまりピンとこない言葉ながら,かと言ってそれに代わるいい言葉が見つからないフレーズがあります。それは「お疲れ様でした。」という言葉です。私がその言葉を聞くと,「自分としては楽しんで仕事をしているのだから,別に疲れてもいないし,あまりしっくりこないな。」と感じます。これに似たフレーズとしては,「ご苦労様でした。」というものがありますが,これは上からの目線での言葉のようです。このようなシーンとフレーズに対して,どうお考えになりますか。何か適切な言葉があったらぜひ教えていただきたいと思います。