第215回 『形容詞を使わない 大人の文章表現力』
先日、上記の本を読み、とても感動しました。
私たちの日常会話では、次のような表現をよく使っています。
① 人間の体はすごい。
② プロの投手の球は生で見るとすごい。
③ 今日は風がすごい。
このような表現は、会話では何とか通用しますが、文章表現の場合はどうなのでしょうか。
この①~③では、ただ単に「すごい」という言葉で、話し手の言いたい意味を伝えようとしています。しかし、聞き手にとっては「具体的に何がどうすごいの?」と思うことでしょう。今はやりの「やばい」という言葉もそうですが、私も含め、どうも最近はありきたりの言葉でいろいろな場面をいっしょくたにして表現してしまいがちなのかもしれません。
では、先程の①~③を聞き手や読み手にわかりやすく伝えるにはどうしたらよいのでしょうか。それは、「すごい」という形容詞を使わず、その様子をもっと具体的な言葉を使って表現することです。例えば、①ならば次の通りです。
① 人間の体は精巧に作られている。
いかがでしょうか。このように表現すれば、「何がすごいのか」について正確に相手に伝えることができます。もちろんそのためには、頭をフルに使って、その「すごさ」にふさわしい言葉を探し、文をつくることが必要になってきます。
②については次のように言い変えてはどうでしょうか。
② プロの投手の球は生で見ると、その速さや迫力に圧倒される。
この場合でも、「速さ」「迫力」「圧倒される」などの言葉を選び、それらを組み立てて文をつくることが求められます。これらの作業をすることで、「考える力」も鍛えられることでしょう。
子ども達の学年に関わらず、このようなトレーニングをさせることは、「考える力」や「語彙力」を増やすためにも、大切なことだと感じます。