第160回 「さ」入れ言葉
みなさんは「さ」入れ言葉というのをご存知ですか。これは、プレゼンなどで人々に話をするとき、「○○について説明します。」と言えるにもかかわらず、「○○について説明させていただきます。」とあえて「させて」を加えて言う表現です。
私は最近、この表現がとても多く使われるようになっていると感じます。その表現の背景は何でしょうか。私はその心理の背景は、「謙譲の美徳」であるように感じます。つまり、「~させていただきます。」と言うと、より謙虚でへりくだった感じを相手に与えられるために、よく使われるようになったと考えます。
しかし私は、この「さ」入れ言葉の乱用は避けるべきだと思います。話の中で、何度も何度も「~させていただきます。」が入ると、聴いている側としては、そのフレーズがとても耳障りに感じられてきます。そんなにもったいぶった言い方をしなくても、「~について説明します。」とか、「お邪魔します。」とか、そのような表現で十分丁寧さは伝わると思います。それなのに、あえて、なぜ「お邪魔させていただきます。」などと言うのでしょうか。私自身としては、この「さ」入れ言葉はあまり使わないようにしようと思っています。
皆さんは下記(1),(2)の表現について、どうお感じになりますか。
(1)「以上、今回は『さ』入れ言葉についてのコメントを述べさせていただきました。」
(2)「以上、今回は『さ』入れ言葉についてのコメントを述べてみました。」