第157回 これからの教育で大切なこと
先日、私は大阪で開かれた「教育ITソリューションEXPO」に行って来ました。そこに展示されているたくさんのIT機器に、とても刺激を受けました。また、別のブースでは、いろいろな講師による講演も同時に行われました。
私は、その中でも灘中・高の校長先生である和田孫博氏の話にとても感銘を受けました。まず驚いたのが、灘中・高の指導法です。普通、進学校というと、ガチガチの詰め込み授業をイメージしますが、灘中・高の授業はそれと対極にあるようです。それは、知的好奇心をかきたてる授業や調べる学習です。灘中・高の先生は、「いかに生徒に『もっと知りたい、学びたい』と思わせるように授業をするか」に心を砕いているように思いました。
例えば、国語の授業では、「大江山」という言葉が文中に出てきたら、大江山についてだけでなく、百人一首の歌を調べさせて、それらを全て学習するなどです。このような方法をとれば、見るもの、聞くもの、読むもの全てが学習の材料となります。
このような発展的学習法は、私どもの『読解はかせ』という教材の中で「チャレンジ!(調べてノートに書きましょう)」というコーナーに取り入れています。私どもの考えと灘中・高の指導法に共通点があると感じ、とてもうれしく思いました。
また、氏はこれからの英語の動向についても触れていました。ポイントは、ICTの発展により、あと十年もしたら、どんな人でも同時通訳のようなシステムを利用できるようになるであろうということです。今の日本では、英語四技能が盛んに取り沙汰されていますが、そのような時代になれば、苦労して英語を学ぶ努力が不要になってしまうことでしょう。それよりも、これからの時代にとって大切なことは、国語力であると感じます。
氏の講演を聴いてつくづく感じたことは、自分の知らないことを調べたり、まとめたりする力や、それを表現したりする力が、今後ますます求められるであろうということです。私どもでは、今後さらに国語教材の開発に力を入れていく方針ですが、氏の話をお聴きして、その方向性の正しさを確認することができました。