第152回 驚異的な縄文時代

以前、私は青森市にある三内丸山遺跡を訪ねたことがあります。その遺跡は日本最大級の縄文遺跡群です。

その頃はまだ、稲作は日本に入ってきていませんでした。そのかわり、縄文人はたくさんの栗の木を植え、栗の実を常食にしていました。また近くには海があり、魚や貝はもちろんのこと、あわびなどもとって食べていました。さらに山では小動物をとり、それもタンパク源としていました。縄文人の住まいは、家族単位で住む竪穴住居ですが、その他として、会合や祭祀用につくられたと思われる大きな建物もあります。

このような遺跡や縄文人の生活を知ると、彼らがとても豊かに平和に暮らしていたことがわかります。そして、このような縄文時代が一万数千年も続いたという事実も驚きです。

先日、ある新聞で宮崎県西都市の考古博物館にある歴史年表のことを知りました。その年表は25mもあり、1㎝が10年、10㎝が1世紀として刻まれています。「民族の20世紀」「帝国の19世紀」「庶民の18世紀」「鎖国の17世紀」などは皆10㎝の長さです。400年続いた「古墳時代」は40㎝、一千年続いた「弥生時代」でも1mです。それに比べて「縄文時代」の長さは何と十数mに及びます。そんなに長い間、争いのない平和な時代が続いたのです。

この事実を知って、私は「文明の進化とは何なのだろう」とか「人々の本当の平和や幸せとは何なのだろう」と考えさせられてしまいました。