第13回 いっこく堂さん

いっこく堂さんは、腹話術で有名です。彼は中学生の頃、婦人警官が人形を使って「横断歩道は手を上げて渡ろうね。」と、腹話術をやっているのを見たのが、その道に入ったきっかけだそうです。そして、図書館で本を借りて勉強するなどして、それを独学でマスターしていったそうです。

腹話術では、「まみむめも」「ぱぴぷぺぽ」などの破裂音の発音は、不可能とされてきました。しかし彼は、舌を口の中で伸ばし、上唇の裏側に付けて、それを下唇の代わりにするという方法で、不可能を可能にしたそうです。

私は「打つ手は無限」という言葉が大好きですが、彼のこの工夫はまさにその言葉にぴったりだと感じました。