第10回 命のビザ①

皆さんは「杉原千畝」という方をご存知のことと思います。氏は1900年生まれで、1940年に現リトアニアにあるカウナスの日本領事館の領事代理を務めていました。そのころは、ナチスが領土拡大を続けていた頃で、ユダヤ人は追害を受け、どんどん追い詰められていきました。

1940年7月18日に、ユダヤ人難民たちはナチスからの魔手から逃れるために、カウナスの日本領事館に、ロシアから日本を通過し、アメリカなどに渡るための通過ビザを求めて押し寄せました。氏は、ビザ発給の許可を外務省に求めましたが、拒否されました。

それはその当時、日本はドイツと手を結んでいたからです。もし、氏が勝手にビザを発給すれば、氏はもとより、氏の家族の命も危ぶまれます。しかし、目の前でビザを求める何百、何千というユダヤ人を見殺しにすることもできません。ここで悩み苦しんだ氏の決断は、外務省に背いてビザを発給することでした。