第112回 大学生の死亡事件
宮崎中央新聞の編集長である、水谷謹人氏の文章を読みました。
水谷氏の娘さんが通っていた大学の研究室で、朝一人の男子学生が死んでいたという事件があったそうです。彼は100㎏を超える巨漢だったそうです。検視の結果、死因は何だったと思われますか?
それは何と「栄養失調」でした。彼は決して生活に困っていたわけではありません。では、なぜそういうことになったのでしょう。
九州大学農学部の佐藤剛史先生は、毎年1年生を対象に、食生活に関する調査を行っています。それは、「1日3食を、どこで、誰と、何を食べたか」を記入してもらうというものです。その結果はというと、例えば、Aさんは昼食を抜き、夕食はコンビニ弁当。翌日は朝食抜き。Bさんの昼食はおにぎりとチョコレート。夕食はカルボナーラとコーンスープ。翌日は朝食抜き。Cさんの昼食はイタリアンバイキングでしっかり食べ、夜は饅頭とミルクティーとスナック菓子。翌朝も饅頭とスナック菓子、インスタントスープ、という具合です。自炊して作ったお弁当を持ってくる人はほとんどおらず、みんな、外食か、弁当やお総菜を買ってきて食べるという傾向です。
食べ方も、深夜12時に食べ、朝食は食べない。お腹が空いたらスマホの画面を見ながら好きな物だけダラダラ食べる。一人暮らしになったとたん、食生活は見事に崩れます。このように、食べる物もいい加減で、食べる時間も不規則というのが、現代の大学生の実態のようです。
私の大学生時代には、大学の近くに定食屋があり、そこで魚や味噌汁、野菜、白米などをバランス良く摂ることができました。そのような食事をきちんととっている場合は、体調も良かったのですが、お金がなくなり、自分でラーメンを作り、そればかりを食べるような生活を送ると、とたんに具合が悪くなり、気力も萎えることを経験しました。そのようなことから、バランスのとれた食事の大切さを学んでいきました。今の大学生が健康的に学生生活を送るには、正しい栄養学の知識と指導も大切だと感じます。