福島で生きる 福島を生きる

2011年3月11日に起きた東日本大震災から15年が経ちました。福島県在住の詩人・和合亮一さんは,あの日から現在に至るまで,福島の思いを詩に託し,つぶてのように投げ続けてこられました。和合さんの本業は高校の教師です。和合さんは福島市内で震災にあい,その直後から旧ツイッター(現在のX)で「詩の礫(つぶて)」という詩を発信し続けました。以下はその一部です。

放射能が降っています。静かな夜です。屋外から戻ったら,髪と手を洗いなさいと教えられました。私たちには,それを洗う水などないのです。

私が暮らした南相馬市に物資が届いていないそうです。南相馬市に入りたくないという理由だそうです。南相馬市を救って下さい。

和合さんは次々とこのような詩を発信し続け,震災や放射線の実態を伝えました。
また,宮城県仙台市で開かれた小中学生を対象とした詩のコンクールでは,小学1年生の男の子が書いた「まほうのつなみ」という詩が披露されました。この子のおばあちゃんは,津波で家も町も流されてしまったので,避難所で毎晩泣き続けていました。その子はその姿を見て震災前の町の風景を描いたり,詩を作ったりしておばあちゃんを励まし続けました。その詩がこれです。

まほうのつなみ

こわれたおうちはもとどおり
ガソリンスタンドも
びょういんも
このえができたら
おばあちゃんに
みせるよ
もとにもどった
しずがわの え

おばあちゃん
げんきをだしてね
いつかきっと
いいつなみがやってきて
もとのまちになるから
まほうのつなみで
もとのしずがわに
もどるから

この詩の中の「いいつなみ」「まほうのつなみ」という発想は,大人では考えつかないことでしょう。子どもの無心のつぶやきが,飾ることなく「今」の思いを真っすぐに伝えていると感じます。

今,世界中で戦争や災害で多くの人が苦しんでいます。お互い助け合って希望を持ち,困難を乗り切っていきたいものです。なお,この文章は「日本講演会新聞」に掲載された和合氏の講演ダイジェスト文を参考にして書いています。