小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は,一般的には日本の昔話や怪談を世界に紹介した作家として知られています。しかしそれ以上に,氏のことを知れば知るほどその奥深さに魅了されます。
氏は1850年(嘉永3年)にギリシャで生まれ,その後アメリカに渡り,新聞記者や作家として活動しました。
そして1890年(明治23年),40歳の時に島根県の松江を訪れました。そこで氏は日本の暮らしや風景に強く心を惹かれました。そして,日本に古くから伝わる話を集め,それを美しい英語で書きました。すなわち「耳なし芳一」「雪女」「ろくろ首」などです。

氏は日本人が大切にしてきた「目に見えない世界」,つまり「ご先祖様の存在」「亡くなった人を思う心」「神様や仏様」「自然の中に宿る魂」「虫の声や月,風を楽しむ心」などに着目しました。それらは日本人としては当たり前のことのように思われますが,外国人だからこそ,日本人自身が気付いていなかった日本の美しさに感動したのでしょう。
氏は小泉セツという女性と出会い結婚し,日本に帰化しました。残念なことに氏は1904年(明治37年),日露戦争の真っ最中に突然狭心症を発して54歳であの世の人となりました。
日本で暮らしたのはおよそ14年間でした。

その死が訪れる少し前,氏は「神国 日本」という本を書きました。この書は日本に関する氏の卒業論文と言われるほど,日本研究の一切を網羅しています。私もその本を手に入れ,少しずつ読んでいますが,これを読むだけで日本の歴史や,日本人の心を深く理解することができます。この書を紐解いていると,「たった14年間の間によくぞここまで日本の真髄について研究されたことか」と驚嘆します。氏は単なる「日本の昔話の翻訳作家」ではなく,「日本を愛し,日本の真髄を掴んだ偉大な人物である」と確信できます。