常識を疑う

元東大教授で社会学者の苅谷(かりや)剛彦(たけひこ)先生は,学生たちにこんな課題で400~500字程度の短いレポートを書かせたことがあるそうです。

「AIが進化して普及するこれからの時代,どのように生きるべきだと思いますか?」

相手は東大の教育学研究科の学生たち。みんなそれなりに論理的で学術的なレポートを提出してきました。その後先生は,そのレポート用紙の右上に「96」「92」「100」…と赤字で数字を入れて学生たちに返しました。学生たちの反応は「あれ?思っていたより良かった!」「おや,なぜあいつより低いんだ?」それらの数字を見て一喜一憂する学生たちを前に先生はこう言いました。「いやいや,その赤い数字は評価の点数ではないよ。君たちが書いた文字数を5で割った数字だよ。」と…。

いかがでしょうか。今までずっと点数に縛られてきた学生にとって,「その数字は評価の点数に違いない。」と判断されても不思議ではありません。先生はそんな学生たちに「勝手な思い込み(スキーマ)に縛られるようでは,これからのAIの時代に生き残れないよ。」と伝えたかったのかもしれません。

世の中には「常識」と思われていることが全くの非常識となることが多々あります。私たちは絶えず,「常識を疑う意識」を持って生きることも大切なようです。

なお,冒頭の文章は,和田秀樹著「老後に楽しみをとっておくバカ」<青春新書>を参考にしています。この本は「もっと頭を柔軟に保っておきたい」と思っている方に最適です。私も「なるほど!」「やっぱり!」などと頷きながら,あっという間に読み終えてしまいました。