第548回 生活不活発病

皆さんは「生活不活発病」という病気をご存知でしょうか。厚生労働省のホームページによれば,生活不活発病とは「動かない(生活が不活発な)状態が続くことにより,心身の機能が低下して,動けなくなること」と解説されています。これは動かない生活を続ければ誰でも罹る病気ですが,特に高齢者はこの病気に罹るリスクが高まります。

この病気の最たる原因は,「長時間座っていること」だそうです。特に日本人は座っている時間が世界一長い国民と言われています。長時間座りっぱなしの生活を続けていると,血流や筋肉の代謝が低下し,心筋梗塞,脳血管疾患,肥満,糖尿病,癌,認知症などの発症リスクが高まります。座っている時間が1日4時間未満の人と,同11時間以上の人を比べると,後者の方が死亡リスクが4割も高いという研究結果も出ています。

また,生活不活発病と似た言葉に「フレイル」があります。これは「病気ではないが,健康と要介護の間の虚弱な状態」のことです。日本では高齢者の約8%がフレイル状態とされています。フレイルかどうかを判断する基準には5項目あり,3項目以上に該当するとフレイル,1または2項目だけの場合はフレイルの前段階のプレフレイルと判断されます。

5項目は以下の通りです。

・体重減少(意図せずに,年間4.5kgあるいは5%以上,体重が減る)
・疲れやすい(何をするのも面倒だと感じることが週3~4日以上ある)
・歩行速度の低下
・握力の低下
・身体活動量の低下

ではその「不活発な生活状態」を改善するにはどうすればいいのでしょうか。

それはズバリ,「運動」です。非常に不活発な人でも5分間だけ心拍数が上がる激しい運動(例えば「縄跳び」など)を習慣にすると,すべての病気に関し,死亡率が6%減少することがわかっています。

デスクワーク中心のビジネスパーソンや運転手の人などは,どうしても座っている時間が長くなりがちですが,毎日5~10分程度の少し激しい運動をすることが,命を守るうえで大切なようです。なお,以上の内容は「食品と暮らしの安全」に寄稿された寺澤政彦医師の文章を参考にしています。