第541回 不老不死への挑戦
若い人には意識されないことでしょうが,人間70歳も過ぎると「死」について考えるようになるものです。理科系出身の私としては,「死を恐れる」ことより,「人間の寿命はどのようにして決まるのか?」ということに興味を感じます。
少し難しい話になりますが,「生物の寿命」を決める要因としては「テロメア」の存在が上げられます。テロメアは,一つひとつの細胞の核の中にある染色体の末端を守る役割をしています。例えて言えば,染色体が靴紐だとしたら,テロメアは靴紐の先端についているプラスチックのチップのようなイメージです。そのチップがあるおかげで,染色体が守られているわけです。
ところがそのチップは細胞分裂と共に少しずつ削り取られていきます。少し乱暴な言い方をすれば,そのチップに例えられるテロメアが少しずつ削り取られた結果,なくなってしまう時がその細胞の寿命が尽きる時ということになります。このような事実は今から40年前に,カリフォルニア大学の研究員エリザベス・ブラック・バーン氏によって発見され,氏の研究はノーベル賞に輝きました。
ここで大きな疑問と期待が生まれます。それは,「もしこのテロメアの削り取りを阻止することができたとしたら,少しでも寿命を延ばせたり,さらには不老不死を実現できるのではないか?」ということです。
どうやらそれは実現できる可能性があるようです。その為には,少なくとも次にあげるような日常生活の工夫や努力が大切です。そして,それを行えば,テロメアの短縮を遅らせたり,場合によっては延長できたりする可能性があるようです。
1.日常のストレスを減らす
2.適度な運動
3.バランスのとれた食事
4.良質な睡眠
5.社会的なつながり
以上の実践に加え,「ストレスフリー療法」という治療を受ければさらに寿命の延長に期待が持てるようです。このようなことにご興味をお持ちの方は,『もう夢ではない 不老不死の実現』了徳寺健二著〈青志社〉のご一読をお勧めします。
