第527回 最近の日本語
皆さんは最近,次のような表現が増えているとお感じにならないでしょうか。次の例は,講演会で司会の方が最初に言う開始の挨拶です。
(A)それでは講演会を始めたいと思います。
(B)それでは講演会を始めさせていただきます。
(C)それでは講演会を始めていきたいと思います。
それぞれのフレーズはともに持って回った言い方がずいぶんと多いように思われませんか。なぜ単刀直入に「それではこれから講演会を始めます。」と発話しないのでしょうか。
また,飲食店では「こちらがメニューになります」とか,「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」などのフレーズが聞かれます。なぜ,「こちらがメニューです」とか,「ご注文は以上ですか」などの簡潔な表現を使わないのでしょうか。
また,結婚のお祝いのスピーチでは「ご子息様におかれましては,この度めでたくご結婚とあいなられました由,心よりお祝いを申し上げます」などの,「これでもか!」ともったいをつけた表現も時々見受けられます。
これらの表現の根底にあるのは,どんな心情なのでしょうか。
それは「上から目線の表現は避けたい」とか,「相手に対して失礼のないように配慮した表現を使いたい」という気持ちからのものかもしれません。つまり日本語では英語などに比べて,「相手への配慮が重視される言葉」であると言えるのかもしれません。しかし,このような表現の多用は,相手にとって「過度に丁寧過ぎて,まどろっこしく感じられる」という逆の結果を引き起こしかねません。私自身としては,できるだけシンプルな言葉使いを貫いていきたいと思っていますが,皆様のご意見はいかがでしょうか。なお,このブログは放送大学教授の滝浦真人氏の講演ダイジェスト文を参考にしています。しかしこの場合は滝浦氏に配慮して,「~を参考にさせていただきました」と締めくくるべきでしょうね。
