第512回 うまくいく人生と愚痴を言い続ける人生
先日,(株)アビリティトレーニング代表の木下晴弘氏の文章を読んで,大変感動したので彼の著書である『人生の見え方が大きく変わる「対」の法則』〈青春出版社〉を読んでみました。大変素晴らしい本で,大いに参考になりました。その中で私自身も体験してきたことで,「なるほど」と腑に落ちた話がありました。
塾で教えていると,どう見てもやる気のない生徒に出会うものです。授業中の態度も悪いし,宿題もやってこない。このような生徒に出くわすと,「塾に来ても無駄だ。他の生徒に悪影響を及ぼすし,塾を辞めて欲しい」などと思うものです。そのように思うのは,「自分は正しい。悪いのは生徒だ」と捉える考え方が根本にあります。人間は都合の悪い事象に出会うと,つい他人や環境のせいにしがちです。なぜそうした傾向にあるのかというと,それは「そう考えた方が自分にとって楽だから」です。ただし,そのような考え方でいると,いつまでも「愚痴を言い続ける人生」から抜け出すことができません。
では,別の考え方があるのでしょうか。それは「生徒がそのような状態でいるのは,自分のせいだとしたら」という考え方です。そして,その考えを広げると「身の回りで起きる出来事はすべて,自分が創り出した結果である」という捉え方につながります。この立場に立つと,自ずと行動が変わってくることでしょう。前述の例で言えば,「どうしたらその生徒にヤル気や目標を持ってもらえるだろうか」などと考えるようになり,その生徒に接する態度を変えたり,自分自身の至らなさを反省し,自らの成長を目指したりすることでしょう。
この本の中で木下氏は,「AとBのどちらを選ぶかで迷った時は,ズバリ『どちらを選べば,自分はより成長できるか』という視点で選んではどうか」と提案しています。もちろん,「より成長できる道を選ぶ」ということは「より困難な道を選ぶ」こととイコールです。しかし,長期的な観点から考えれば,その道の方がより人生の幸せに近づくことになるでしょう。
このことを知って,やはり私は「愚痴を言い続ける人生」より,絶えず成長を意識して「うまくいく人生」を目指したいものだと感じました。