第509回 木下氏の講演ダイジェスト文を読んで…。

塾を経営されている方なら,(株)アビリティトレーニング代表の木下晴弘氏をご存知の方も多いことでしょう。氏は同志社大学を卒業後,銀行に就職しましたがわずか40日で退職し,学生時代にアルバイトしていた大手進学塾の講師になりました。そこでは生徒からの支持率95%以上という人気を勝ち取り,多数の生徒を超難関校へと導きました。

現在は全国の教育機関で,教員,保護者,生徒向けのセミナーを実施して,好評を博しています。氏は塾での保護者面談の時,必ず「なぜ?」を多用し,保護者の要望の本質を追求していったそうです。
「お母さん,なぜお子さんに勉強して欲しいのですか?」
「なぜいい学校に入って欲しいのですか?」
「なぜ…?」…という具合です。

そして最終的に出たお母さんからの答えは,次の通りだったそうです。

「まず健康で,安定した収入があって,社会の役に立って,周りから感謝されて,愛する人に囲まれて,笑顔の人生を送ってもらえたら,もう何も言うことはない」

では,そのような人生を獲得するために必要なことは何でしょう。
そのヒントは2007年にハーバード大学が発表した『幸福優位性理論~ポジティブ心理学』という論文にあります。氏はその中で「自分は幸せだと思える人ほど良い結果を生んでいる」という一文に着眼しています。つまり,成功するから幸せになれるのではなく,元々幸せ感あふれる人が成功できるということです。
そう考えていくと,何としてでも難関校合格という現実的なことを目標にするのではなく,「受かったらより楽しい人生が待っていそうだ」と幸せ感を持ちながら努力していくような姿勢が大切なのかもしれません。