第498回 デジタル教材と紙教材
私の知人の子どもが通う小学校では,学習端末が「一人一台」付与され,授業に加えて宿題などもタブレットで行われているようです。果たしてデジタル教材は紙教材に比べて有効なのでしょうか。
このことに関連して,ある国で重大な教育方針の変更があったことは驚きです。それはIT先進国である北欧のスウェーデンが「デジタル教材を重視した教育が子どもの学習に悪影響を与える」として,「紙の教科書や手書きを重視する方針」に舵を切ったことです。
知人の子どもは「タブレット学習ではしょっちゅう画面をスクロールしなければならないので目が疲れる」とか「タブレット学習では,わかりやすいこともあるが,すぐにその内容を忘れてしまい,頭に残らない」という不満を抱いているそうです。
タブレット学習における算数の計算学習では,「順序立てて途中式を書くことをしないため,筋道立った考え方が身に付かない」などの弊害も出ることでしょう。また九九の暗記にしても,声に出したり,手を使って百マス計算をするなどの反復練習がないために,生徒全員が完全定着することは難しいでしょう。その証拠に「中学生の中には,九九を完全に覚えられていない生徒が目立つ」などの報告も寄せられています。
以上のような背景から当社では,デジタル教材を推進するという立場はとらず,従来通りの「紙教材」や「手書き」を重視するという方針を貫きます。
塾の先生方からは,都麦の教材は「なぞり書きが多く,書く手間が多い」とか,「同じことを何回もチェックされるのでくどい」などの声が寄せられることもあります。しかし,「何回も脳を刺激して記憶力を高める」とか「学んだことをしっかりと定着させる」などの点において,「手を使って書く」「紙教材中心の学習をする」ことは,デジタル教材よりも優っているのではないでしょうか。