第481回 不登校児童などの増加と食事の関係
現在の日本では発達障害児の増加と共に,不登校児童が4年で2倍近くに増えています。この原因は色々考えられると思いますが,その1つとして考えられるのは,タンパク質,ビタミン,ミネラルなどの栄養不足ではないでしょうか。
広島県でふじかわ心療内科クリニックを開業されている藤川徳美氏が書かれた『親子ではじめる!天才ごはん』〈方丈社〉によると,精神的な病も含めた慢性的な疾患や,だるい,重い,つらいなどの原因は,必要な栄養素の絶対量が足りていない「質的栄養失調」にあるとのことです。この病院では一般の精神科で中心となる薬物治療ではなく,栄養療法で高い治療効果を出されています。
質的栄養失調の患者さんの特徴は次の通りです。
1.コーラ,ジュースなどの清涼飲料水や,お菓子,パン,麺類などの糖質に偏った食事をしている。
2.肉,魚,大豆などのタンパク質の摂取が不足している。
3.玄米や雑穀類に含まれているマグネシウム,鉄分などのミネラル成分が不足している。
そのため,これらの栄養分を食事やサプリメントなどを通じてしっかり摂ると,その症状が改善されるようです。
ではなぜ今になってこのような現状が深刻化しているのでしょうか。その原因の一つに,調理済み流通食品の増加が考えられます。それらの食品に使われる輸入冷凍食材は,調理前に徹底的に水洗いされます。その結果,それらの食材に含まれているミネラル成分が除去されてしまいます。また,飲料の黒ずみを消すためには,磁石で鉄分を取り除く装置なども使われています。その結果,鉄分が失われた飲料や食材も増えているようです。
世の中では共働きの家庭が増えているため,母親の手造り料理が減って,「調理済み流通食品」に依存する家庭も多くなっていることでしょう。そういった環境にあっても,手造りの野菜サラダなどを盛り込んだ,栄養バランスのとれた食事を心がけたいものです。