第480回 日本人の英語力
2024年11月19日(火)の日経新聞に「日本の英語力92位に転落」という記事が載っていました。これは語学学校を世界的に展開する企業「EFエデュケーション・ファースト」(スイス)がこのほど発表した英語圏以外の国・地域の2024年版「英語能力指数」のデータで,これによると過去最低の92位に転落したとのことです。日本の順位は年々下落が続き,その低下に歯止めがかかっていません。調査対象は116か国・地域,オランダが6年連続で首位を維持し,2位はノルウェー,3位はシンガポールです。日本は前年の順位を5つ下げ,韓国,ベトナム,インドネシア,中国などを下回り,アジア23か国・地域でも16位に沈みました。
日本では小学生から英語を学ぶようになったのに,いったいなぜこのような不本意な結果になってしまったのでしょうか。私は英語の専門家でもありませんので,偉そうなことは申し上げられませんが,その要因の1つには「指導システムのまずさ」があるように感じます。例えば,日本の小学生が「国語」を学ぶことについて考えてみましょう。小学1年生ではひらがなの多いやさしい文章から学びます。また,漢字なども少しずつ学びます。そして,学年が上がるにつれて,それらが無理なくレベルアップします。
一方,英語の指導では,小学生のうちからたくさんの英語表現や単語を,音声中心にシャワーのように浴びせます。そして,中学校ではいきなり英単語や文章を書くことを要求します。このような指導システムでは,敢えて英語嫌いの子どもを多数つくってしまうという結果にならないでしょうか。
算数・数学などの科目でも,易から難へゆっくりと学んでいきます。英語も同じようにステップ・バイ・ステップの指導システムをとれば,生徒全体が落ちこぼれをつくることなく,楽しく英語を学んでいけるように思うのですが,いかがでしょうか。