第466回 算数の本質に迫る学習法
今回は少し難しい内容かもしれませんが,頭の体操と思ってお付き合い下さい。
小学校5年生の算数では「約分」を学びます。例えば,68/102という分数の約分では,分母,分子の数が偶数なので2で割って34/51。34も51も17で割れるから,既約分数は2/3となるという具合です。
このような問題ができるようになるだけで素晴らしいのですが,小学校の算数がこれだけで終わってしまうのは残念な気がします。
68も102も17と2で割れますが,102から68を引いた34という数も,17と2で割れるのです。つまり,その差の数も同じ公約数を持っているのです。
もしも,こんな深いところまで小学校や塾で指導すれば,次のような大学入試の問題を小学生でも解くことができます。
〈問題〉148953/298767を約分して,既約分数に直しなさい。
いかがでしょうか。手強い問題のように感じますね。ここで先ほど学んだ「分母から分子を引いた数も,分母,分子と同じ公約数を持っている」という性質を利用します。
298767ー148953=149814
さらにその数と分子の148953とも同じ公約数を持っていると考えられます。よってその差の,
149814ー148953=861を求めます。
この861という数がポイントです。
148953÷861=173
149814÷861=174
298767÷861=347
これで,148953/298767=173/347 となり,既約分数は,173/347となります。
今の小学校では,このような算数の面白さを教えたり,算数の土台をしっかり作ったりすることよりも,皆で話し合ったりすることに力を入れているようです。
私としては,まず児童全員が算数の土台をしっかり作ったり,算数の面白さを味わったりすることの方が先決のように思うのですが,いかがなものでしょうか。