第467回 老後ひとり難民

これからの日本の姿を考えると,「老後ひとり難民」という問題が深刻化してくると思われます。多くの人には「自分には関係ない」と感じられるかもしれませんが,高齢で子どものいない夫婦の場合,一方が倒れたり亡くなったりすれば,あっという間に「誰も頼れない」という厳しい状況に追い込まれてしまうわけで,このような問題も,今から考えておくことが大切と言えるでしょう。

例えば,ある一人暮らしの高齢者が腰が痛くて動けなくなったとします。このような場合,運よく電話が近くにあれば通報できますし,近所に駆けつけてくれる人がいれば,助けを求められることでしょう。しかし,そうでなければ,誰かが気付いてくれるか,何とか立ち上がれるようになるのを待つしかありません。その後,病院に緊急搬送されたとしても,財布や保険証を持たないで行ったとしたら,途端に数々の問題を抱えることになるでしょう。

例えば,次のような問題です。
・身寄りのない高齢者が入院して身動きがとれないとき,医療費は誰がどうやって支払うのか。
・入院した高齢者の携帯電話料金がコンビニ支払いだったら,それは誰がどうやって支払うのか。
…などです。

私はこれらのことを『老後ひとり難民』沢村香苗著〈幻冬舎新書〉で知りました。この本を読んで私は,「今の自分には関係ない」というものではなく,「どんなことが起きても慌てないように,先手先手で考えて準備しておくことの大切さ」を痛感しました。