第461回 森永氏の『がん闘病日記』

皆さんは,経済アナリストとしてテレビにもよく出演されている森永卓郎氏をご存知のことと思います。氏は2023年11月にいきなり医師から「あなたはがんに侵されており,余命はあと4カ月です」と通告されました。まさに青天の霹靂,そのがんはどこにあるか特定できない原発性のもので,そこから膵臓などに転移している可能性があり,ステージⅣの末期がんとのことでした。そのがんの治療には抗がん剤が使われました。その理由は「どこにがんがあるかわからないから」というものでした。ところがこれが大失敗。氏の体に合わなかったのか,モノが食べられなくなり,生死の境を彷徨いました。

その後,新薬である点滴薬を打ってもらい,命を取り留めることができました。

これらの経緯は氏の新刊書である『がん闘病日記』に詳述されているので,ご興味のある方はご一読されると良いでしょう。私がこの本の中で「なるほど!」と思ったのは,次のような「がんの発生とオプジーボなどのメカニズム」です。

1.人間の体の中では,新陳代謝のために古い細胞のデータをコピーして,新しい細胞が作られている。その細胞は稀にコピーミスを起こし,それががん細胞である。
2.がん細胞は誰の体の中にも多数生まれるが,体内に存在する免疫細胞が,がん細胞を攻撃し,消滅させる。
3.ところが,何らかの理由で免疫細胞軍団の力が弱まると,がん細胞軍団が一気加勢に攻めてくる。
4.がん細胞は武器として泥団子のようなものを持っており,それを免疫細胞軍団にぶつけてくる。それを浴びた免疫細胞は,身動きがとれなくなり,急激にがん細胞が増殖して猛威を振るう。これががんの発症である。
5.さて近年,がん撲滅の特効薬として脚光を浴びているオプジーボは,免疫細胞が浴びた泥を洗い流す役割を持っている。その助けを借りた免疫細胞は息を吹き返し,再びがん細胞軍団との戦いの舞台に舞い戻る。

いかがでしょうか。多少荒っぽい説明ですが,このように捉えると,がんやオプジーボの役割がよくわかるように思います。

ここで大切なことは,がんから身を守るには,日頃から野菜中心のヘルシーな食事を心がけたり,体温を上げたり,健康に良いライフスタイルを心がけることでしょう。そうすれば免疫細胞軍団の力を高めることができ,絶えず沸き起こるがん細胞をその都度消滅できるからです。

私は今,庭でとれたバジルや大葉のサラダを毎日食べ,規則正しい生活やストレスの少ない日常を心がけています。そんなささやかな努力も少しは功を奏しているのか,健気な我が免疫細胞軍団は私をがんから守ってくれているようです。