第454回 鉛筆の大ヒット商品

皆さんは字を書くとき鉛筆を使いますか,それともシャープペンシルなどを使いますか。多くの人にとって今や鉛筆は,馴染みのないものになっているかもしれません。そんな中,毎年2000万本も売れている鉛筆があるそうで,その話を経済評論家の西村 晃氏の短文で知りました。その鉛筆は,両端が塗り固められていて,芯の部分が見えなくなっている色鉛筆です。つまり,削らないと何色が出てくるのかわからない色鉛筆です。この色鉛筆に目をつけたのが,移動をしながらディスカウント商品を売っていく会社で,その会社の営業方法はダイレクトメールでの集客です。そのダイレクトメールの中にこの色鉛筆を入れるのだそうです。すると,受け取った人は「何だろう?」と封を開けたくなります。ついつい封を開けてしまうと,「色鉛筆を削るとその色によって素敵な賞品がプレゼントされます」と書かれてあります。ただし,自分の色鉛筆の色が当選の色かどうかは,当日の販売会場に出向かないとわからないようになっています。このような仕組みで,お客を販売会場に集めるという訳です。私はこの話を知って,その「ストーリー」のうまさに感心しました。つまり,ダイレクトメールから当日の集客までの流れがとてもよく考えられているからです。そして,この営業方法を真似る会社も増えたために,その色鉛筆の売り上げも伸びているとのことです。