第447回 認知症は怖くない?

人間誰しも年齢が進んでくると,「自分も認知症にならないか」という恐れを抱かれることでしょう。日本には今,600万人を越える認知症患者がいるそうです。この数は2030年には800万人に増加すると予測されています。さらに認知症であることに気づかないまま生活をしている方もおられるので,65歳以上の高齢者の3人に1人は何らかの認知機能障害を抱えながら生きているとも言われています。

人は年をとると誰でも脳の機能が衰え,物忘れなども見られるようになりますが,加齢による物忘れと,認知症は全く違います。認知症は少しずつ脳の細胞が死んでいく進行性の病気です。一度発症すれば,通常の老化とは比べものにならないスピードでその症状が進みます。

それでは,加齢による物忘れと,認知症による物忘れはどう違うのでしょうか。食事を例にとってみましょう。「食事をしたことは覚えているが,何を食べたかは覚えていない」というのが前者の物忘れです。しかし後者になると「食事をしたこと自体を忘れてしまう」ことになります。このような症状が出ると,日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。認知症の原因の中では,アルツハイマー病が最も多く,今後はさらにその割合が増えると推測されています。

では,アルツハイマー病にかかってしまった場合,治るものなのでしょうか。残念ながらアルツハイマー病の場合,根本治療薬はまだありません。ただ,改善させる方法はあるようです。それは2014年にアメリカの神経変性疾患の権威であるブレデセン博士が開発した,リコード法というものです。その論文によると,リコード法を実践した初期認知症患者の9割が,その改善に成功したとのことです。リコード法の基本は薬を用いるのではなく,生活習慣の改善と適切な栄養補給です。私はそのリコード法の内容を知って,結局は日々の生活習慣と食事が大切であるということがわかり,「今の生活を続ければ良いのだ」と確信しました。

認知症やアルツハイマー病に関心のある方は,ぜひリコード法について調べてみてはいかがでしょうか。なお以上の情報については,山根一彦医学博士の著書『認知症にならない最高の習慣』の内容を参考にしました。