第425回 お尻の洗い方

一昔前に比べて,温水洗浄便座が急速に普及し,温水洗浄便座でない便座に出会うことの方が珍しくなってきました。

さて今回は,お尻についての勉強をしましょう。

お尻の周りの皮膚はとても薄く,顔の目の周りの皮膚と同じくらいデリケートです。目の周りをゴシゴシ擦ると,皮膚がカサカサして赤くなり,酷くなるとヒリヒリして痛痒くなります。お尻の皮膚もそれと同じくらいダメージを受けやすいのです。お尻の皮膚の表面は「皮脂膜」という脂で覆われていて,これが重要なバリアになっています。お尻を洗い過ぎると,この皮脂膜が剥がれ,さらに皮膚も傷つき,バイ菌やウイルスが侵入しやすくなります。

温水洗浄便座の普及は,「痔の症状が改善する」と期待されていた時期もありました。ところが,温水洗浄便座の普及とともに,不調を訴える人が増えているようです。その原因の多くは,温水洗浄便座による「洗い過ぎ」です。

では,それを防ぐにはどうしたら良いのでしょうか。それは温水洗浄便座による「洗い過ぎ」を防ぐことです。温水洗浄便座を使うときのポイントは次の通りです。
(1)水圧は最も弱く。
(2)水温は最も低く。
(3)洗浄時間は3秒以内。
以上の3点を守ることです。

私は前述の情報を大阪肛門科診療所の佐々木みのり氏の文章から取得しました。私自身は「お尻は洗えば洗うほど良い」と思っていましたので,この情報はまさに「目から鱗」でした。

また,お尻の拭き方にも注意が大切とのことです。
それは,トイレットペーパーを折りたたんで拭く方法とは違います。

トイレットペーパーをテニスボール大にフワッと丸め,ポンポンと押さえて拭くのが良いようです。すると,お尻の皮膚を傷つけることが避けられます。すべての人にとって大切なお尻!以上のようなことを守り,やさしく扱ってあげたいものです。