第424回 雑学も役に立つ

私は多くの分野に興味を持ち,今まで知らなかったことを知るのが大好きです。するとそこで得た雑学が思わぬところで役に立ち,人に喜ばれることもあります。先日,次のような場面に出くわしましたが,それもその一例です。

出張で飛行機に乗った時のことです。後ろの座席にいた2~3才くらいの男の子が泣き続け,泣き止みません。お母さんは途方に暮れ,その子をあやしたり,後部にあるトイレスペースに連れて行ったりと大変そうでした。周りの人も困った顔をしていました。

皆さんはこのような状況をどう捉えますか?「なんでそんなに泣き続けるんだ。困った子だな」と思う方もおられるかもしれません。このようなケースでは,泣いている子どもにはその子なりの事情があります。その原因の多くは「耳が痛い」ということです。
ではなぜ耳が痛いのでしょうか。
子どもは大人に比べ,まだ耳の働きが不完全です。そのため,飛行機が上昇,下降する時などの気圧の変化に耳が対応できないのです。そしてその状態がずっと続くと,耳が痛くなってしまいます。そんな症状が起これば,大人でも耐えられず呻き苦しむことでしょう。

では,その症状を何とかする方法はないものでしょうか。1つあります。それは「耳抜き」という方法です。

スキンダイビングやスキューバダイビングをする際,水中に潜っていくと耳が痛くなります。それは外からの水圧と,耳の中の空気圧がアンバランスになるために起きるのです。そんな時は慌てずに鼻をつまんで頭の中の空気を耳の鼓膜に向かって押し込むようにします。この方法が「耳抜き」です。これによって耳の痛みは治まります。

飛行機の中での気圧の変化にも,この方法が利用できます。

タイミングを見てお母さんに,「お子さん,大変ですね。それは気圧の変化で耳が痛いので泣いているのですよ。時々,このようにして鼻をつまんでみて下さい」とお伝えしました。
しばらくすると,そのお子さんの耳の痛みは治ったようで,泣き声は止まったようでした。