第423回 コンビニ経営の大変さ

現在では,なくてはならない便利店となっているコンビニ。そのコンビニの先駆者であるセブンーイレブンは,1974年にスタートしているので,コンビニの歴史はもう50年ほどになります。コンビニの経営は一見,華やかなように見えますが,その内実は大変なこともあるようです。その内実に興味を持った私は,『コンビニオーナーぎりぎり日記』仁科充乃(にしなよしの)著〈フォレスト出版〉という本を読んでみました。

充乃さんは30年前にご主人と共にコンビニオーナーになりました。コンビニを始めて間もなく陥ったのが「人間不信」。

・レジに来たお客が,野良猫にエサでもやるように小銭を放り投げる。
・電話に出ると,「レシート見たらスパゲッティーが1つ会計に計上されているぞ。今すぐここまで金持って謝りに来い!」…。こんなことは日常茶飯事です。コンビニは日本社会の縮図のようです。

さてコンビニでは,真夏になると大変です。ゴミ箱にはびっくりするほどの速さでペットボトルが溜まり,すぐに満タンとなります。中には家から持ってきたであろうペットボトルを捨てていく人もいます。コンビニの仕事はこれらのペットボトルのキャップを外し,飲み残しの液体を捨てることから始まります。中でも大変なのが,炭酸飲料が入ったペットボトル。このペットボトルのキャップをうっかり外そうものなら,残っていた液体があらぬ方向に飛び出し,「目に直撃」という危険もあります。

また,コンビニでは1年365日,1日24時間,結婚式があろうが,葬式があろうが,営業し続けねばなりません。家族旅行など,夢のまた夢です。そのため充乃さんは2020年8月から,この本の発刊時(2023年8月)頃までの約3年間,1057連勤を続けています。3年間もの間1日も休まず仕事をし続けるとは,コンビニとはなんとも大変なところだな,と感じます。こんな日々が続くためか,充乃さんはオープン5年目に,急に右手が上がらなくなってしまったそうです。医師の診断によると,病名は「関節リウマチ」。その後は左手中心の生活だそうです。

またコンビニにはありとあらゆるタイプの人がやってきます。その対応はとても大変なようです。

ではコンビニで働く良さは何でしょうか。それはパートさんたちとのチームワーク,お馴染みさんとの楽しい会話等,厳しい日々の中でも小さな楽しみがいろいろあるようです。コンビニ経営の大変さとコンビニの存在のありがたさを知ってから私は,コンビニでトイレを借りたときは,ビールやお酒などをたくさん購入して,そのお礼とすることにしています。