第419回 老いては「好き」にしたがえ!

私も,もうかなりな年になってきたので,今後のことをいろいろと考えてしまいます。そんな時,『老いては「好き」にしたがえ!』という本に出会い,読んでみました。著者は芸人で,近年では俳優としても活躍されている片岡鶴太郎氏です。彼は芸人や俳優としてだけでなく,画家としても有名なのは知っていましたが,それ以外にもいろいろなことに挑戦している姿を知り驚きました。

例えば,33才の時に始めたボクシング。

当時の彼は,テレビなどで売れていて,そんな芸人がよく陥るように,テレビの本番の後には夜遅くまで飲み歩いたりする,荒れた生活を送っていました。当然体形も酷いもので,自己嫌悪に陥っていました。そんな彼がボクサーのライセンス取得を目指したのです。

当時は芸人としての絶頂期でしたから,事務所からは「仕事を減らして,好き好んで何で痛い思いをしてまでそんな無謀な賭けをするの?」と不思議がられました。当時は2年先まで仕事が詰まっていたそうですが,その先の保証はありません。彼は「4年,5年先を見据えると,今から変えていかないと間に合わない」と考えたそうです。そして激しいトレーニングの結果,見事ライセンスを取得したのです。

さらに38才の時には,絵への挑戦を決意しました。そして初めての個展は大成功を収めました。その後,草津ホテルの社長さんから「草津に鶴太郎さんの美術館を建てたい」という申し出があり,それが実現しました。そして近年まで2000点程の作品を作られたとのことです。

本を通じて,以上のようなことを知って,彼の決断力と行動力に大いに驚き,尊敬の念を抱きました。

芸人としてうまくヒットしても,その後2~3年で消えていく人も多いことでしょう。しかし彼は絶頂の中にあっても,数年先のことを考え,その実現のために惜しまぬ努力を続けました。この本に私も大いに刺激を受け,次の5年に向けての準備を始めようと思いました。