第417回 百年の藍
若者を中心に愛されているジーンズ。皆さんはジーンズのしわなどの部分が青色から白色に変わっていくことを不思議に思ったことはありませんか。
アメリカで作られたジーンズと同じものを日本でも作りたいと念じ,その願いが百年後に叶ったという物語を最近読みました。それが増山実著『百年の藍』〈小学館〉です。
この物語は岡山出身の主人公が,東京の浅草で関東大震災に遭遇する場面から始まります。そこでの配給品として配られた中に,アメリカから贈られてきたジーンズがあり,主人公はその青の美しさに感動します。
その後,場面は岡山に移り,太平洋戦争,戦後のどさくさ,と移り,その激動の中で登場人物たちの波乱万丈の人生が展開されます。そして最後は阪神淡路大震災の場面を経て,クライマックスとなります。
私はこの445ページもある物語をお盆休みの3日間ほどを費やして読破しようと,読み始めました。ところが,あまりの面白さに一気に1日で読み切ってしまいました。久々に面白い小説を読むことができました。ご興味のある方は,ぜひご一読をお勧めします。特に故郷が岡山の方は,より楽しめることだろうと感じました。