第352回 86歳からの筋トレ

皆様は大村崑さんというコメディアンの方をご存知ですか。彼は昭和33年4月に大阪テレビでスタートした「やりくりアパート」という番組でブレークし,その当時の視聴率は実に50%に及びました。その番組のスポンサーはダイハツで,ダイハツは「ミゼット」という小さな車を売っていました。私はその当時のコマーシャルをよく覚えています。

次に彼の人気を決定付けたのが「頓馬(とんま)天狗」でした。スポンサーは大塚製薬で,その製品である「オロナイン軟膏」の名にあやかって,「性は尾呂内,名は南公」という決め台詞が有名でした。その後,オロナミンCなどのコマーシャルにも登場していましたので,彼をご存知の若い方もおられることでしょう。

彼は昭和6年生まれで,2022年現在90歳です。彼が9歳のとき,お父さんが急死され,その後彼の一家は家族が離れ離れになりました。彼はといえば,伯父さんの家にもらわれていき,義母となる伯母さんからは厳しく育てられました。彼はその頃から虚弱児で,弱視で,しかも左耳は難聴でした。さらに19歳のとき,肺結核に罹り,右の肺を切除されつつも何とか命を繋ぐことができました。

そんな体ですので,医者からは「お前は40歳で死ぬ。だから結婚もするな,子どももつくるな」と言われていました。そんな状態でしたが,何とか結婚もし,子どもにも恵まれ,今現在90歳まで生き抜いておられます。しかし,80歳を過ぎた頃から,歩くのも大変で,ゼイゼイ言いながらやっとのことで奥さんの後をついていくような状態でした。

そして,86歳までの彼の体つきは次のようでした。
①容姿は猫背気味で,お腹がポコンと出ている。
②体脂肪率は25.9%,筋肉量は42.4㎏。

さて,彼が86歳になったとき,ある所から筋トレの誘いを受けました。彼は初め「この年になって筋トレなんてやっても何も変わらないだろう。」と思っていました。ところが週2~3回ほどそれをやり続けたところ,何と彼の体は次のように変化しました。
①背筋はシャンと伸び,お腹はへっこみ,シャキッとした。
②体脂肪率は17.1%に減少,筋肉量は45.2㎏と増加。

そして,奥さんとも速足で歩くこともできるようになり,体もいたって健康になりました。
私は前述のような彼の生い立ちや,今現在の彼の姿を『崑ちゃん90歳 今が一番,健康です!』〈青春出版社〉という本で知り,その変化した姿も写真で確認し,ビックリしました。何といってもこの本を読んで一番驚いたのは,「80歳を過ぎた人でも,筋トレなどで体を鍛えることで,こんなにも変わることができるのだ!」ということです。
皆様の中で,大村崑さんのことや,筋トレについてご興味をもたれた方は,上記の本を読まれてはいかがでしょうか。