第334回 ダイエットをしたら太ります。

私は先日『ダイエットをしたら太ります。』永田和彦著〈光文社新書〉という本を読みました。
私自身はBMI値が22ほどなので,ダイエットの必要はないのですが,持ち前の好奇心から「ダイエットをしたら,なぜ逆に太ってしまうのか?」ということに興味を覚えたため,本書を読んでみました。
さて,ダイエットについて普通の考え方でいけば,「太っているのは食べ過ぎなのだから,痩せるためには食べる量を減らすとか,食事を抜くとかすれば良い」となります。

しかしそれはどうも間違った考え方のようです。
詳しい内容は本書に譲るとして,なぜその考え方は正しくないかということについて,簡単に説明すると以下の通りとなります。
(1)食事の量を減らしたり,食事を抜くと,確かに一時的には体重は減る。
(2)しかし,人間の体は飢餓の状態に陥ると,生命を維持するために,少ない量の食事でも生き延びられるよう,効率良く栄養を吸収しようとする体に変化する。
(3)よって,後日必ずリバウンドが起き,ダイエットを繰り返せば繰り返すほど,太る体質になっていく。

さらに,それとともに食事を抜いたり,食事の量を減らしたり,下剤を利用したり,より多く喫煙したりすると,体がますます不健康になり,いろいろな病気を引き起こすというリスクも増します。
また,「飢餓状態である」と脳が判断すると,脳は代謝活動を低下させます。
すると,体温が低下して寒気を覚えたり,心拍数や血圧も低下します。
さらに,手足にむくみが出たり,皮膚がボロボロになったりします。
脳の働きにも影響が出て,理解力や集中力も低下します。

とかく中学・高校の女生徒などの中には,肥満でもないのにダイエットをしたがる傾向が強いかもしれません。
そこで不必要かつ非科学的な自己流ダイエットを行ってしまうと,日常の生活や学校の勉強にも悪影響を及ぼすと考えられます。
もし皆さんの周りに,そのような生徒がおられる場合には,ぜひ本書を参考にするなどして,安易なダイエットに対し,注意を促してあげたいものです。
さらに,正しいダイエットの方法や,どのようなものを食べ,どのような生活習慣を身につければ良いかについて,ご興味のある方は,本書を紐解かれてみてはいかがでしょうか。