第322回 「噛むこと」は生きる喜び

皆様は「健康維持にとって,最も手軽で効果的な方法とは何か」ということについて,既にご存じのことでしょう。
そう,それはよく噛むことです。
よく噛んで食事をすると,胃腸への負担も減り,唾液もよく出て栄養分の消化吸収力も高まります。

私はそれを知ってから,次のことを実行しています。
それは,「食べ物を口に入れたら,必ず箸を置く」ということです。そして,口の中の食べ物がどろどろになるまで噛み続け,その時点になったらようやく飲み込むようにすることです。

もし,箸をもったまま食事をするとどうなるでしょう。
特に時間に追われているときなどは,充分噛まないうちに次の食べ物を口に運ぶことになるでしょう。
すると,食べ物は充分咀嚼されないうちに胃の方に流れていってしまいます。
そのような食べ方をすると,当然胃腸の調子も悪くなり,しっかりとした栄養分の補給ができなくなります。
すべての動物は歯を失えば,噛む力も失われ,その結果食べる量が少なくなってくると,死への道へと歩き始めます。

先日「日本講演新聞」で歯科河原英雄医院院長の河原英雄氏の講演ダイジェスト文を読みました。
「8020運動」は「80才で自分の歯を20本持とう」という運動です。
歯が20本あれば何でも噛むことができますが,17本になると噛む力は6分の1となり,15本以下だと全く噛めなくなり,さらに話せなくなり,笑えなくなってしまうそうです。

噛む力を増すには,歯科医院で販売しているようなガムを噛むことも有効なようです。
氏は,「胃ろう」になってしまい,歯磨きもせず,噛むこともしなくなった「要介護5」の人にしっかりガムを噛ませ,一日三回は歯磨きをするという習慣をつけるよう指導したそうです。
すると,半年後には箸を使って自分で食べられるようになり,胃ろうが要らなくなったそうです。

このように「食べる」ということ,「噛む」ということは,単に美味しいとか栄養だけの問題ではなく,「生きることそのもの」だと氏は語っています。
その記事を読んで以来私はさっそくネットでその種類のガムを取り寄せ,一日2~3回ガムを噛むようにしています。
この文章もそのガムを噛みながら書いていますが,ガムを噛むと頭もクリアーになるようで,このブログの文章もスラスラと浮かんでくるように感じます(笑)。