第320回 男は火星人で女は金星人?

男性は女性,女性は男性を理解するのが難しいときがよくあります。
そんな時は,男は火星人,女は金星人と捉え,そんな人々が地球で出会ったと考えるとよいそうです。
そのようなアイディアを提唱したのは,アメリカの心理学博士のジョン・グレイ氏です。
氏の書いた本は「ベスト・パートナーになるために」で,2001年に邦訳されています。

訳者は何と映画監督でもよく知られている大島渚氏。
この本は2021年3月20日で第57刷を迎えている超ベストセラーです。
世に男女関係の理解の難しさを書いた本はあまたありますが,それらの本は,この本を参考にしているところも多々あるなと感じます。
男女関係の難しさに悩んでいる方には,お薦めの一冊だと思います。

そもそも,男は火星人で,女は金星人と捉えると,「男女は違ってあたりまえ」と理解でき,両者の摩擦は少なくなるようです。
一例として,こんな場面を想像してみましょう。
奥さんが夕飯の支度をしている時,包丁で指を怪我してしまい,「アッ痛い!指を切ってしまった」と叫んだとします。
そのとき男性はどう反応するでしょうか。
そして女性はどんなことを求めるでしょうか。

多くの男性は,「すぐに血止めの薬を持ってくるよ」とか「近くの○○病院に行くのがいいと思うよ」などと言うかもしれません。
それが男性的発想で,そのような言動が女性に対してのベストな愛情表現だと考えるからです。
では,女性側としたらその言動をベストな愛情表現と捉えるのでしょうか。
それは全く違うようです。
そこに男女の意識の差があるようです。

男性はたえず解決策を求めています。
だからこのような場合,もっとも最適な解決策を探し,それを女性に提案することが女性に対する最大の愛情表現だと感じます。
だからそのような言動が生まれてくるのです。
一方女性の求めるものは全く異なります。
こんなとき,女性は「共感」を求めます。
血止めの薬より真っ先に「それは大変だ。さぞ痛むだろうね。」と駆け寄って抱きしめられることを求めるようです。

つまり,何事にも男性は「解決策」を求め,女性は「共感」を求めるようです。
ですから,男性が女性の悩みを含んだ長い話を聞く時にしても,「それならこうしたらいいよ」などと解決策を提案するよりも,黙ってじっくり話を聞き,ただ「そうなんだ。そうなんだ」と相槌を打っていればそれでいいようです。
この本には,そのような「なるほど,そうだったのか」というようなヒントがたくさん掲載されており,改めてとても参考になりました。