第305回 「なぜきみは生きるのか」

今私は「なぜきみは生きるのか」大坪信之著<幻冬舎>という本を読んでいます。
今の子どもの世界は、いじめなどの問題もあり、私たちの子どもの頃に比べて、とても生きにくくなっているように感じます。
そのため、若くして命を落とす子どもも増えています。

この本は、「10歳からの人生哲学」として氏が若者のために書いたものです。
この本を読むと「ぼくたちはみながひとつづきにつながった運命共同体だ」など、「なるほど!」と思うことがたくさん書かれています。
また、僕たちはみんな、親をはじめとする大人から、大変な手間ひまをかけて育てられてきたこともわかります。

動物の中には、生まれた瞬間からすぐに一人で動きだして、エサを自分で手に入れられるような生きものもいます。
一方、人間は生まれてから数か月は一人で歩くこともできません。
もし生まれたばかりの赤ちゃんを自然界に放っておいたらすぐに死んでしまうことでしょう。

赤ちゃんは、体温の調節が十分にできないので、親は絶えず衣服や毛布などで温めています。
ミルクも夜昼の区別なく2~3時間おきに与えています。
そして赤ちゃんは食べたら食べた分だけ出しますから、おむつの交換やお尻を清潔にすることも1日8~12回は必要です。

そのほかに、お風呂に入れたり、服を着替えさせたりと、やることは山ほどあります。
先日私は、2歳の孫がいる息子夫婦と外食する機会がありました。
息子の嫁さんはバッグの中にたくさんのおもちゃや絵本を用意してきて、孫をあきさせないよう自分の食事はそっちのけで、とっかえひっかえそれらで遊ばせていました。

それを見て私は子育ての大変さを再認識しました。
いずれにせよ、子どもが赤ちゃんとして生まれてから今の姿に成長するまでに、多くの人の助けを借りています。
そして、人間は一人で生きているわけではなく、みんなで助け合って協力して生きていくことの大切さを感じます。

日本には「持ちつ持たれつ」、「困ったときはお互いさま」という言葉があります。昔の人は、人間は一人では生きていけないことをよく知っていたことでしょう。コロナにより、人間関係の分断がますます進んでいるようです。しかし、今こそ「ぼくたちは、みながひとつづきにつながった運命共同体だ」ということを再認識することが大切かもしれません。