第306回 「一流の頭脳」

私は現在「一流の頭脳」精神科医アンダース・ハンセン著<サンマーク出版>という本を読んでいます。
この本は、かなり小さい字で組まれており、318ページもある読みごたえ充分なハードなものです。
とは言っても、私のような著作家、編集者にとって、自分自身の頭脳を一歩でも「一流の頭脳」に近づけることは切実な問題ですので、あえて読むことにしました。

この本も「スマホ脳」と同じく、原始人と現代人の比較にも触れています。今や原始時代から1万2千年もたっていますが、「私たちの身体は動くのに適したつくりになっていることには変らない」そうです。
しかし、現代人は原始時代の人々に比べ歩いたり走ったりすることは極端に減っています。
著者はこの点に着目し、世界中のありとあらゆる研究論文を調べ「脳と運動」の関連性を追求しています。
結論めいたことを大雑把に述べれば、「速歩やジョギングを生活に取り入れれば、脳の働きは良くなると同時に、鬱病などの改善にも役立つ」ということです。

この本には、よくノーベル文学賞の候補者としても名前が挙がる村上春樹氏も登場します。
私は、60才のときホノルルマラソンに挑戦し、5時間切りで完走した経験があります。
その当時に氏が書いた「走ることについて語るときに僕の語ること」という本はとても参考になりました。

氏はハワイに住んでいます。
そして作品の執筆中は毎朝4時に起き、午前10時まで仕事をします。
そして昼食後に10キロのジョギングをし、その後、水泳や読書を楽しみ、夜の9時に就寝するという生活を行っています。
そのようなジョギングを取り入れた生活が氏の創造力を高めているようです。
また、新しいものを生み出すには、芸術的な繊細さと同じくらいに、運動で培った体力も欠かせないようです。

この本を読んでいて、私もふと思い当たることがありました。
私が塾を経営しているときは、土日でも定期テスト前の特訓が入ったりするため、超多忙な日々を送っていました。
それでも週末には半日でも時間を空け、テニスに興じていました。
そんな短時間でもテニスをすると、その翌日はとても頭がクリアになり、仕事もスイスイと進むのです。
そのとき私は、「忙しいからといっても、仕事ずくめではかえって仕事の能率を落としてしまう。そうでなく、少しでも運動を取り入れた生活が大切である。」という体験を得ました。

この本を読んで、「頭脳をシャープにするには、やはりジョギングや速歩などの運動が大切なのだ」ということを再認識しました。
最近私は朝の寒さもあり、自宅から会社まで自転車で通っていました。この本を読んで、今朝からさっそくリュックを背負い、自宅から会社まで徒歩で通勤することにしました。
実行してみると、とても気分がよく、このブログもいつもより短時間で書けたように感じます(笑)。