第301回 「魔法のe」
皆様は、英語学習において使われる「魔法のe」という言葉をご存知ですか。これは、英単語の読み方のルール(フォニックス)の中の、「知る人ぞ知る」法則の1つです。私は、このルールを30年ほど前に知ったとき、「このような有用なルールを中学校入学時に教えてもらっていたら、英単語の読み方にこんなに苦労しないで済んだのに!」と思わず叫び出したくなるほどのショックを受けました。
では少し「魔法のe」についてご説明しましょう。例えば〈bit〉という単語があります。これは〈ブ・イ・トゥ〉で〈ビット〉と読みます。ところが、〈bit〉の後に「e」がついた〈bite〉という単語は〈ブ・アイ・トゥ〉で〈バイト〉と読みます。これはどういうことを意味するかというと、単語の後にeがつくと、その前の〈i〉という母音の読みが、〈イ〉からアルファベット読みの〈アイ〉に変わるというルールです。このルールを「魔法のe」とよびます。
もう少し例を出しましょう。〈kit〉は〈ク・イ・トゥ〉で〈キット〉ですが、〈kite〉は〈ク・アイ・トゥ〉で〈カイト〉です。同様に〈sit〉は〈スィット〉で、〈site〉は〈サイト〉です。
さらにこのルールは、母音の〈i〉だけでなく、他の母音も同様です。〈pet〉は〈ペット〉だが、〈pete〉は〈ピート〉。〈cut〉は〈カット〉だが、〈cute〉は〈キュート〉。〈mat〉は〈マット〉だが、〈mate〉は〈メイト〉。
いかがでしょうか。このようなルールを英語を学ぶ最初に知っておけば、新しい単語が出てきても、いちいち辞書などでその単語の読み方を調べなくても推測で読むことができ、英語学習の負担を減らすことができます。論より証拠、次の単語を読んでみてください。
pin ,pine ,tub ,tube ,hop ,hope ,cap ,cape ,win ,wine・・・。
単語の意味をご存知ない場合でも、正しく読めたことでしょう。
小学生に続き、中学生についても、今年から英語の教科書がますます難しくなり、教科書に使われる英単語の数も増えます。そのため、今後はますます「英語が苦手」という生徒が増えるだろうと、私は懸念しています。そんな昨今ですが、先日、中四国のある私立中学校から、前述のフォニックスについて楽しく学べる当社のテキスト『アルファベットの名人』の学年採用がありました。その学校では、新中学1年生に対し、当社のテキストを使って、まず英単語の読み方(フォニックス)を教えつつ、基本文法の指導に入っていくようです。私は、フォニックス学習などの大切さを理解して下さる学校もあると知り、大変うれしく思いました。