第285回 プラスワンの大切さ

夏の日差しも強くなり、気温も上がってきました。庭の草花や野菜もグングン成長し、キュウリ、ミニトマト、バジル、シソなどは、自分のところだけでは食べきれないほどの収穫があります。そんなときは、それらを知人や会社のスタッフにお裾分けすることにしています。

それらを差し上げると、もちろんその場での「ありがとう」という感謝の言葉を頂くのですが、多くの人は「プラスワン」の行動を起こされます。それは、差し上げた何日か後に、「社長から頂いたバジルは、すぐにペーストにして、朝食のパンに塗って子どもに食べさせたら、『こんなおいしいのを食べるのは初めてだ!』と喜んでくれました」などと、具体的な感想を頂くことです。

そのような言葉が返ってくると、自分の中で「よし、また頑張って育てて、たくさんお裾分けしよう」という気持ちが強まります。これがもし、差し上げたときだけの「ありがとう」だけではどうでしょうか。前述のような強い気持ちまでは起きないことでしょう。また、「本当に喜んで頂けたのだろうか。かえって迷惑に思われていないだろうか」などの不安の気持ちも湧き起こります。

自分の身を振り返ってみると、やはり自分自身も、この「プラスワン」を完璧にできていないなと感じられます。私が人生勉強として学んでいる「倫理法人会」では、よく講話の中に「人の喜び、我が喜び」という言葉が出てきます。

自分の庭で採れた野菜を自分の家だけで消費するのなら、単なる「自分の喜び」だけですが、それを人に差し上げることで「人の喜びが自分の喜び」となります。また受け取った人は、頂いた相手に対し、具体的なプラスワンの感謝の言葉を伝えることで、自分の喜びを相手の喜びとすることができるように思います。そして、そのような行為は、人間関係をますます豊かなものにしていくことでしょう。