第281回 笑いの効用

コロナ騒動で何かと暗い話が多くて大変ですが、このような時こそ、「笑いの効用」について考えてみることが大切かもしれません。

私は「日本講演新聞」で(財)豊岡台病院院長、日本笑い学会四国支部代表の枝廣(えだひろ)篤昌(とくまさ)氏の話を読んで、とても感動しました。

生後間もない人間の赤ん坊は、他の動物のように歩くこともできないし、ものを食べる力もありません。そして、何か困ったことがあるとすぐ泣きます。お腹がすけば泣くし、オムツが濡れると泣きます。親は、その都度世話をしなくてはいけないので、乳児期の子育ては疲れ果てます。そんなときに、赤ん坊が機嫌良くニコッと笑ったりすると、いっぺんに疲れが吹き飛んでしまい、「また世話してあげよう」という気持ちになります。笑顔の力は本当にすごいものです。

氏は、精神科のお医者さんなので、よく鬱病の患者さんと向き合うそうです。鬱病は心身がすり減った状態なので、心にも体にも症状が出ます。体の症状は、全身の倦怠感、疲労、不眠、めまい、肩こりなどです。鬱病の始まりを示す心の症状は、「今まで楽しんでいたものが楽しめなくなる」というものだそうです。そして、「どうせ自分なんて」と思い、死にたくなったりするそうです。これを防ぐには、まず休養が一番大切とのことです。更に重要なのが、「笑い」です。

笑いの効用には、次の4つがあるそうです。

1つ目は「誘引する力」、つまり人を引き付ける力です。笑っている人たちがいると、人はそこに集まってきます。だから楽しい行事をすることが大切なようです。

2つ目は「親和する力」です。初対面の人でも最初に笑いがでると、後の会話がしやすくなります。

3つ目は「浄化する力」。昔から「笑いは百薬の長」と言われ、笑うと病気が良くなったり、体内の毒素が浄化されたりします。

そして、4つ目は「解放する力」。どうにもならない状態に追い込まれても、それを笑い飛ばせば人はその状態から解き放たれます。

もし今日、辛いことがあっても、寝る前に「今日あった楽しいこと」を1つ思い出すだけで、気分が良くなるようです。私も鏡を見て、ニコッと笑う習慣を更に磨いていこうと思います。