第273回 VISION-S

困難の多い世の中ですが、「少しでも明るい未来のことを考えよう」ということで、そんな話題を探してみました。それが「VISION-S」です。

2020年1月に、ラスベガスで世界最大の技術見本市「CES2020」が開催されました。その中でも注目を集めたのが、ソニーが開発した自動運転車のコンセプトカー「VISION-S」でした。電気自動車の自動運転というと、バッテリーやモーター、運転を制御するAIなどに目が行きがちです。実は、一番大切な中核部分は「センサー」なのだそうです。

自動運転車を人間の体に例えれば、AIは脳、モーターは心臓、バッテリーは肝臓などの臓器、タイヤやステアリングは筋肉です。そして「センサー」は感覚器官である目や耳、鼻などの「触覚」です。ソニーはゲームなどで有名ですが、実は売上の8割を「センサー」で稼いでいるそうです。ソニーはその技術を駆使し、この「VISION-S」は12のカメラ、17の超音波レーダー、3つの光センサーなどを搭載しているそうです。そして、これらのセンサーが周囲360度の交通状況を常に把握しているのです。

将来、車がこのような形になると、車での移動のスタイルも大きく変わることでしょう。「マイカー」という概念はなくなり、人は必要なときにこのような車を借り、目的地までは車の中で、皆でワイワイとカラオケをしたり、映画や食事を楽しんだりすることでしょう。

今、世の中は大きな変革の時期を迎えていると感じます。人の心や世の中の仕組みも変えないと、やっていけないのかもしれません。世界中の人々が平和に過ごせるような世の中が来て初めて、「VISION-S」のような車が価値を発揮することでしょう。