第269回 山火事の怖さ

先日、出張中の機内で「オンリー・ザ・ブレイブ」という映画を見ました。これは、2013年6月に、米国アリゾナ州で実際に起きた出来事を元に作られた映画です。地域で結成された「ホット・ショット」という消防団が、命を賭して山火事に向かっていく物語です。

今、アメリカでもオーストラリアでも、山火事が頻繁に起きています。これを消火するのは大変なことです。私達にとって、森林は酸素や安らぎを提供してくれる場などと感じています。しかし、彼ら消防隊は「燃料倉庫」と捉えているのです。つまり、乾燥しきった森林は、その一帯が燃料だらけといえるのです。その一部に落雷などが原因で火が付くと、その火は四方八方に燃え広がります。

これをくい止めるには、木を切り倒し、防火帯をつくるのが一つの方法です。しかし、燃えさかる火は、そのような急ごしらえのものもあざ笑うかの如く、突破してしまいます。もう一つの方法は、防火帯をつくった後、「火には火を!」で迫り来る火の逆方向の森林に、敢えて火を付け、火に火をぶつけて消してしまうというものです。このような手段を実行することは、消防隊にとっては生死をかけたもので、まかり間違えば逃げ場を失い、隊を全滅に導く恐れもあります。

この映画には、街や人々を命懸けで守る隊の姿が描かれており、とても感動し、涙無しには観ることができませんでした。