第259回 文章作れぬ若者

2019年12月3日に、OECDが行った学習到達度調査(PISA)〈2018年調査〉の結果が発表されました。それによると、日本の15歳の読解力は、15年調査の8位から15位に後退しました。翌日の読売新聞では、一面トップに「文章作れぬ若者」という記事が載りました。

大手予備校の現代文講師である小池陽滋さんは、ある受験生から提出された要約文を読んで、「またか」とため息をついたそうです。そこには「この公園には滑り台をする」と書かれていたとのことです。こうした「主語・述語が不明確で、意味が通じない」文章は、近年特に目に付くそうです。中には、原稿用紙2枚分の作文を、全て「、」でつなげ、一文で書いてきた高校生もいるそうです。

この原因の1つには、SNSの普及があると考えられています。スマホを使って友人らと短文をやりとりする「LINE」などの利用が広まっています。それを利用すると、「スタンプ」だけでも感情を表すことができます。このようなことばかりしていると、正しい日本語に触れる機会も減り、言葉の乱れに通じるとも考えられます。企業からも「若手社員の作った社内文書がわかりにくい」という声が高まっているようです。

当社では数年前から、子ども達の読解力が落ちていることや、文を書く力が衰えていることを危惧してきました。そこで、『読解はかせ』や今回新発売の『作文・小論文の名人』などの開発に力を入れてきました。これからは、これらの教材も利用していただき、子ども達の国語力が元通りになることを願うばかりです。