第237回 『いま、ここで輝く。』

私は先日、表題の本を読みました。著者はおおたとしまささん、出版社はエッセンシャル出版社です。

この本は、東大合格者数では全国トップレベルの進学校である、栄光学園〈中・高〉の数学教員をされている「イモニィ」こと井本陽久さんについてのものです。イモニィの授業はとてもユニークで、全国から教員だけでなく、カリスマ塾講師、プロ家庭教師など、たくさんの人が見学に訪れるそうです。そして、その授業を受ける生徒たちの躍動感を目の当たりにし、皆感激して帰られるそうです。

私は、その授業がどんなものなのかに強く興味を持ち、本書を読み進めました。詳しくは本書に譲りますが、そのポイントは、「興味を引き出し、深く考えさせ、しかもそれらをゲームのように楽しい雰囲気の中でする」ということのようです。

今の学校では「幾何における証明問題」などは、深く扱いませんが、イモニィの授業では、それを積極的に取り入れ、数人のグループを作って、各チームで競わせるなども行っています。一見、受験勉強とは、かけ離れているように見えますが、これらを通じて「深く考えさせる」ということが、学力を高めるために大切なようです。

少し話は変わりますが、当社の『ろんりde国語』には、「〈なくしたのですか/ペン/どこで/あなた〉について、助詞を補いながら適切な文をつくりなさい」などの問題があります。このような問題を解くためには、「ああでもない、こうでもない」と頭を使います。そのような過程の中で、国語力や論理的思考力が身につきます。そして、それをきちんとした文字でます目を埋めるということで、国語力が定着します。

最近、ICTや映像が中心の教材が増えていますが、私は「学力を伸ばすには、深く考えたり、実際に文字を書かせることが最も重要である」と思っています。皆様のお考えはいかがでしょうか。