第236回 「%」が分からない大学生
最近私は表題の本を読みました。著者は芳沢光雄氏で、出版社は光文社です。
芳沢氏によると、現在の日本の大学生に「2億円は50億円の何%か」という質問をすると、「50÷2=25だから25%です」と答える人が2割前後いるそうです。また、中3生を対象とした全国学力テストの結果では、食塩水の濃度の問題について、2012年の中3生の方が、1983年の頃の中3生より正解率が20%も下がっているそうです。
このような現象の背景に何があるのでしょうか。詳しくは本書の内容に譲りますが、一番大きな問題は、学生たちが「やり方や解き方だけ覚えようとして、『なぜそうなるか』とか『深く考えること』をしなくなったこと」にあるようです。
確かに、教材展示会で塾の先生方とお話をしていると、「最近の生徒たちは、考えることを放棄して『わからん』を連発し、すぐに答えを聞こうとする傾向が強い」などと答える方が多くおられます。また、保護者にも、ちょっと考えれば分かることでもすぐに聞いてきたり、感情的になったりする人が多いようです。また、塾を選ぶこと一つについても、よく調べたり考えたりすることなく、一部の情報だけを鵜呑みにして決めてしまう人もいるようです。
ではなぜ、このような数学の力や考える力が衰えてきてしまったのでしょうか。ある塾の先生は「ゆとり教育などによって、親の学力や考える力が衰え、それが今の子どもに影響を及ぼしているのではないか」とおっしゃっていました。生徒たちと接するときは、すぐ答を教えず、じっくり考えさせる習慣をつけることも大切なようです。